「 嶮浪 ken-ro 」
- 2020/08/26
- 11:08
正法眼蔵 行 持 下
「 嶮浪 ken-ro 」
真丹初祖の西来東土は
般若多羅尊者の教勅なり
航海三載の霜華
その風雪いたましきのみならんや
雲煙いくかさなりの
嶮浪 ken-ro なりとかせん
( 菩提達磨大師がインドから
( 中国に坐禅仏道を伝えられたは
( 菩提達磨大師の師である
( 般若多羅尊者の教勅によるものです
( 航海三年の月日は
( 厳しかったのレベルでなく
( 危険な波浪を超える旅だったと
( 察せられます

不知のくににいらんとす
身命をおしまん凡類、おもひよるべからず
これひとへに
伝法救迷情の大慈よりなれる行持なるべし
( その当時 [五世紀]
( インドから中国へ行くことは
( 普通の感覚からすれば
( 死路にも等しかったと思われます
( それでも中国へ赴こう
( そうなされたのは
( 坐禅仏道を伝えて
( 迷情を救おうという大慈悲のゆえです

伝法の自己なる、がゆゑにしかあり
伝法の遍界なる、がゆゑにしかあり
尽十方界は
真実道なるがゆゑにしかあり
尽十方界
自己なるがゆゑにしかあり
尽十方界
尽十方界なるがゆゑにしかあり
( 何故、十字坐禅が
( 「 迷情を救う 」 となるのでしょう
( 今の中国でこの主旨の道場が
( 隆盛をほこってる、とは思われません
( 「 十字坐禅が迷情を救う 」
( この方程式は千五百年たった
( この現在でも未解決の方程式と言えます
( 封印された方程式でそれ自身が
( 解かれる事を待っておられる
( そのように見受けられます

( 十字坐禅とは私のことです
( 十字坐禅とは遍界のことです
( 十字坐禅とは尽十方界のことです
( 何故そうなるのでしょう

( ひぐらしさん、とんぼさん
( ヒマワリさん、すすきさん
( 空を進む入道雲、夜露の一滴
( みな同じ空間を感じてるのかしら
( 同じ時間を感じてるのかしら

( 十字坐禅の大事なしぐさに
( 手の組み方、指の合わせがあります
( 法界定印と呼ばれるもので
( 両親指が対峙します
( 頭でイメージで小さな点を
( 実感しようとしてもあまりピンときません
( 針の穴をどんどん小さくしてゆく
( その小さくなるほうのベクトルを
( この親指の合わせが教えてくれます

( 心魂をどこまでも小さな
( 点に合わせてゆくとは
( どういうことでしょう
( 何をすることになるでしょう
( それは通常の「空間」の感覚から
( 離れることに他なりません

( 次に何故、通常の
( 「空間」の感覚から離れる事が
( 迷情を救うことになるのか
( それが問題になります
( 「空間」の感覚はなんでしょう
( それは内と外の感覚に他なりません

( 法界定印の親指の合わせ
( それで「 点 」 を体験することで
( 私達は通常の空間感覚から離れます
( 内と外に分かれる空間感覚から
( 離れるとも言えます

( 内と外に分かれる空間感覚
( これが迷情苦悩
( その原因の一つゆえ
( 十字坐禅、法界定印が
( 迷情を救うという方程式です

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