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行 持  下 「 銀子一万鋌 zyo 」





正法眼蔵 行 持  下
「 銀子一万鋌 zyo 」


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趙 提挙 tyo-teiko は
嘉定聖主の胤孫 in-son なり
知明州軍州事、管内勧農使なり
先師を請して、州府につきて
陞座 sin-zo せしむるに
銀子一万鋌 zyo を布施す

 ( 趙 長官は
 ( 宋の嘉定皇帝の親族でした
 ( 明州の軍と州を治める地方長官であり
 ( 州内の農事を司る長官でした
 ( 長官は、先師 如浄禅師を
 ( 州の庁舎に招き、説法をお願いして
 ( 銀貨一万鋌を布施しました

先師 陞座了 sin-zo-ryo に
提挙 tei-ko にむかふて
謝していはく
某甲 soregasi 例に依 yo って
出山して陞座 sin-zo す
正法眼蔵涅槃妙心を開演し
謹んで以て
先公の冥府 mei-fu に薦福 sen-puku す

 ( 如浄禅師は、説法が終わってから
 ( 趙 提挙 tyo-teiko 長官に感謝し述べました
 ( 私は、慣例に従い
 ( 僧堂を出て説法にお伺いし
 ( 正法眼蔵涅槃妙心を説き
 ( 謹んで亡き御尊父の
 ( ご冥福をお祈りいたしました

但 tada し
是の銀子 gin-su
敢 a へて拝領せじ
僧家 so-ke
這般 sya-han の物子 mo-su を要せず
千万賜恩 si-on
旧に依って拝還 hai-kan せん

 ( しかし、この銀貨を頂く事は出来ません
 ( 僧は、このような物を必要としないからです
 ( この有り余るお志は
 ( これまでのように、謹んでお返し致します

提挙 teiko いはく
和尚、下官 a-kan 忝 katazikena く
皇帝陛下の親族なるを以て
到る処に且 ka つ貴なり
宝貝 ho-bai 見ること多し

 ( 長官は述べます
 ( 和尚殿、私はかたじけないことに
 ( 皇帝陛下の親族です
 ( 何処へ行っても貴ばれ
 ( 富を頂くことが多いのです

今 先父の冥福の日を以て
冥府に資せんと欲 omo ふ
和尚 如何 ikaga 納めたまはざる
今日多幸、大慈大悲をもて
少襯 syo-sin を卒留 sotu-ryu すべし

 ( 今日は亡き父の
 ( 冥福を祈る日です
 ( 冥府の父に感謝を捧げたいのです
 ( 和尚殿はそれをお納め下さりません
 ( 今日は本当に有難うございました
 ( どうかお慈悲により
 ( 少しばかりの御布施をお納めください

先師曰く
提挙 teiko の台命 dai-mei 且つ厳なり
敢へて遜謝 son-sya せず
只し道理有り、某甲 soregasi 陞座 sin-zo 説法す
提挙 聰 akira かに聴得すや否や

 ( 先師 如浄禅師は述べられました
 ( 提挙 teiko 長官のお言葉は重く
 ( お断り出来るものではございません
 ( しかし、このような道理があります
 ( 私は先ほど説法致しました
 ( 提挙 teiko 長官は
 ( お聞き取り頂けたでしょうか

提挙曰く
下官 只聴いて歓喜す

 ( 提挙 teiko 長官は述べました
 ( お話を承り、喜びで一杯です


先師いはく
提挙 tei-ko 聡明にして
山語を照鑑す
皇恐 ko-kyo に勝 ta へず
更に望むらくは台臨
鈞候 kin-ko 万福

 ( 先師 如浄禅師は述べました
 ( 提挙 tei-ko 長官はご聡明であられ
 ( 山僧の言葉をお聞きとり下され
 ( まことに恐れ多いことです
 ( 私の願いは、さらに万福であることです

山僧 陞座 sin-zo の時
甚麽 zin-mo の法をか説得する
試みに道 i へ看 mi ん
若 mo し道ひ得ば
銀子一万鋌 zyo を拝領せん
若し道ひ得ずんば
便ち府使 fu-si 銀子を収めよ

 ( 私は先ほど説法を致しました
 ( どのような事を述べたか
 ( お答えして頂ければ
 ( 銀貨一万鋌 zyo は頂戴致します
 ( もしお答え出来なければ
 ( その銀貨はお収め下さい

提挙、起 ta って先師に向って云く
即辰 soku-sin 伏して惟 o-mon みれば
和尚、法候動止万福

 ( 提挙 tei-ko 長官は立って
 ( 如浄禅師に答えます
 ( 和尚殿は万福であられる

先師いはく
這箇 sya-ko は是れ挙し来る底
那箇 na-ko か是れ聴得底なる

 ( 如浄禅師は述べます
 ( それは私が先ほど述べたことです
 ( どのように説法を
 ( お聞きとられたのでしょうか

提挙 擬議 gi-gi す
先師いはく
先公の冥福円成なり
襯施 sin-se は且 sibara く
先公の台判 dai-han を待つべし

 ( 提挙長官は熟考します
 ( 如浄禅師が述べられます
 ( 御尊父の冥福は
 ( 円満に果たされました
 ( お布施は、ひとまず
 ( 御尊父の判断を待つことにしましょう

かくのごとくいひて
すなはち請暇 sin-ka するに
提挙いはく
未だ不領なるをば恨みず
且 tada 喜ぶ師を見ることを

 ( そこで如浄禅師が暇乞いをし
 ( 提挙長官は述べられます
 ( お布施を受け取って頂けないことは恨みません
 ( 師にお目にかかれたことを嬉しく思います

かくのごとくいひて、先師をおくる
浙東 se-to 浙西 se-sei の道俗
おほく讃歎 san-tan す
このこと、平侍者 zi-sya が日録にあり

 ( 提挙長官は、このように述べ
 ( 先師を送りました
 ( この話を聞いた浙江省の
 ( 多くの人々が賛嘆しました
 ( このことは、侍者の記録に残っています

平侍者いはく
這 ko の老和尚は
得べからざる人なり
那裏 nari にか容易 taya-su く見ることを得ん

 ( 侍者は伝えています
 ( この老和尚は人の中の人です
 ( これが 「 人 」 と言う方には
 ( 容易に会えるものではありません







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プロフィール

佐々木 正巳

Author:佐々木 正巳
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「国際交流のための坐禅会」

(ご希望に合わせ随時開催・参加費無料)

2006 東京国立博物館(上野) にて開催
2006~2015 仙台国際センターにて毎月開催
2022 ~  仙台 国見にて随時開催




かつて馬祖 baso の会 e に参じてとふ
「 如何是仏 nyoga-zebutu 」と
馬祖いはく
「 即心是仏 sokusin-zebutu 」と
法常このことばをききて
言下大悟 gonka-taigo す




法常禅師 Ho-zyo zenzi が
馬祖 baso 禅師の坐禅道場で
静かにお坐りになられてる
傍目にそのお姿は、静止してて
水面静まりけり、死人のように見えます
その死んだ水面に、天地が語りかけます
陽光星辰は一瞬も滞らず、その歌を奏でます

法常禅師はある時
馬祖禅師にご質問なされた
「 仏とは、どのようなものですか 」

馬祖禅師が答えます
「 坐禅においては、心が仏となります 」




宮城県仙台市青葉区国見5-6-18
( 5-6-18 kunimi Aobaku Senndai )


仙台にお越しの折は
気軽にお寄り下さいませ

ご連絡先はコチラでした!
090-7325-5711



師 沼田 勇 先生 



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文章を通しての師

Rudolf Steiner 先生
Kōdō Sawaki
沢木 興道 老師 ( 曹洞宗 )











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