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谿声山色  9 「 逆水の波浪たかく天をうつ 」





正法眼蔵 谿声山色  9
「 逆水の波浪たかく天をうつ 」


この居士の悟道せし夜は
そのさきの日、総禅師と
無情説法話を参問せしなり

 ( 東坡居士 [ 1037 - 1101 ] が
 ( 谿声山色を聴いた夜
 ( そのすこし前、照覚常総禅師から
 ( 「 無情説法話 」
 ( について説明を受けていました

禅師の言下に
翻身 hon-sin の儀
いまだしといへども
谿声のきこゆるところは
逆水の波浪たかく天をうつものなり

 ( 禅師からその説明を受けても
 ( 東坡居士に特段変化はありませんでした
 ( しかし谿声山色を聴いたその夜
 ( 逆巻く波が天を高く打つよう聞こえたのです


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しかあれば、いま
谿声の居士をおどろかす
谿声なりとやせん
照覚 syo-gaku の流瀉 ryu-sya なりとやせん

 ( それは谿声山色が
 ( 東坡居士に語りかけたのでしょうか
 ( それとも、禅師の説法の
 ( 余韻だったのでしょうか

うたがふらくは
照覚の無情説法話
ひびきいまだやまず
ひそかに谿流の
よるの声にみだれいる

 ( 照覚常総禅師の
 ( 無情説法話のイメージが
 ( 強く印象に残り
 ( それが渓流の夜の声に重なり
 ( そう感じられたのかも知れません

たれかこれ
一升なりと辨肯 ben-ko せん
一海なりと朝宗 tyo-so せん

 ( 谿声山色無情説法
 ( それが何故聞こえるか
 ( それを特定するのは無理です

畢竟 hi-kyo じていはく
居士の悟道するか
山水の悟道するか
たれの明眼 mei-gen あらんか
長舌相 tyo-zeso 清浄身 syozyo-sin を
急著眼 kyu-zyaku-gan せざらん

 ( 突き詰めてみれば
 ( その夜の静かな坐
 ( その居士の威儀骨格
 ( それが谿声山色の扉を開いたのか

 ( それとも谿声山色が
 ( 居士の威儀威風を喜び
 ( 己を明かし祝福したのか
 ( どのような因縁で、谿声山色が
 ( その清浄身 syozyo-sin を明かしたのか
 ( 知ること能わずです




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