谿声山色 15 「 真龍を愛せざらん 」
- 2021/05/16
- 14:55
正法眼蔵 谿声山色 15
「 真龍を愛せざらん 」
かくのごとくなる皮袋 hi-tai
これ求法 gu-ho の
志気甚深 siki-zinzin なりし先哲なり
その先蹤 sen-syo
いまの人かならず参取 san-syu すべし
( このような先人方は
( 仏道を求める志がとても深かったのです
( その実例から多くを学ぶことが出来ます
いまも名利 myo-ri に
かかはらざらん真実の参学は
かくのごときの志気をたつべきなり
( 名利に係わらない
( 真実の求道者は
( このような志を立てるべきです
遠方の近来は
まことに仏法を求覓 gu-myaku する人まれなり
なきにはあらず、難遇 nan-gu なるなり
( どの地域でも深く仏法を求める人は希です
( おられますが、会い難いと言えます

たまたま出家児となり
離俗せるににたるも
仏道をもて名利のかけはしとするのみおほし
( たまたま出家の身となり世俗を離れても
( 仏道が名利増大の手段となってしまう
( そのように推移する事が多いと言えます
あはれむべし、かなしむべし
この光陰 ko-in ををしまず
むなしく黒暗業 koku-ango に売買 mai-mai すること
いづれのときかこれ
出離得道の期ならん
たとひ正師にあふとも、真龍を愛せざらん
( 哀れ悲しいことです
( 月日を大切にせず
( 空しく悪行を繰り返していては
( 何時 迷いを離れ
( ここに一本の卒塔婆を建てる
( 仏道の価値へ行き着けるでしょうか
( たとえ正師の打坐を見ても
( 一本の卒塔婆を建てるその真価は
( 隠されたものになるでしょう
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